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かぜ薬について

[2016.03.24]

以前からかぜ薬の一つとして使用されてきた、「リゾチーム塩酸塩」(商品名:ノイチーム、レフトーゼ等)が発売中止になりました。小児科での使用頻度は高くありませんが、慢性副鼻腔炎(ちくのう)や痰の切れにくい気管支炎などで使われてきた薬です。発売中止の理由は科学的な検証で明らかな効果が認められなかったから、とのことです。過去何十年も使われてきた薬なのに今さら・・という感じに思えますが、普段かぜ薬としてよく出される薬の中には効果についての根拠が十分でないものがいくつもあります。せき、鼻水などのかぜ症状に対して、本当に薬が必要なのかは常に考えなければいけません。

 

・鼻水止め(抗ヒスタミン薬:ペリアクチン、ポララミン等)

鼻水を止める効果はありますが、粘っこい鼻水の場合は粘性が増すことでかえって鼻づまりがひどくなることがあります。注意が必要なのは中枢神経(脳)への作用です。脳内にもヒスタミンが存在し、その働きが抑えられることで眠気がきたり、ボーッとしたりすることがあります。特にけいれんを起こしやすい患者さんは使うべきでないとされています。

代わりとして抗アレルギー薬(アレグラ、ジルテック等)が処方される場合もありますが、これらはアレルギー性鼻炎の薬であり、かぜに対する適応はありません。

 

・せき止め(非麻薬性(アスベリン、メジコン等)、麻薬性(コデイン等))

古くから使われており、せきに対して頻繁に処方される薬ですが、小児のかぜ症状に対する効果の科学的根拠はあまりないようです。せき自体は異物を外に出そうとする体の反射でもあり、むやみに抑えようとすべきではありません。咳き込みによりしんどい場合のみ使うことを考えます。

 

・気管支拡張剤(メプチン、ベネトリン、ホクナリン等)

そもそもかぜ薬ではありません。気管支喘息発作の治療薬です。乳幼児の気管支炎では一時的に気管支(空気の通り道)が細くなってゼーゼーいうことがあり、そのような状態には効果があります。貼るだけで使いやすいホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)を説明なく処方する医師のせいで、かぜ薬だと信じている方が時々おられます。

「咳止めのテープを下さい・・」 → そんな薬はありません!

テープが本当に効く咳を繰り返す場合は、喘息の可能性があるので相談して下さい。

 

他にも何種類かありますが、これらの薬はすべてかぜ症状の治療に必須のものではありません。子どもに薬を飲ませるのは大変なことも多く、思わぬ副作用のリスクもあります。ただ、使うことで症状が軽くなり楽に過ごせるようになる子がいるのも事実です。飲ませることのメリットがデメリットを上回るかどうか、その都度考えます。ご家族からの情報(症状の大変さ、薬の飲ませにくさなど)も重要ですので、遠慮なくおっしゃって下さい。できれば薬を使いたくない、との考えも大歓迎です。(薬局の方、ごめんなさい。) お子様にとって一番良い方法を一緒に考えていきましょう。

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